TikTok広告を始めたいが、月にいくら用意すればよいのか分からない。調べると「CPMは数百円」「月数十万円から」とさまざまな数字が出てきますが、自社の商品だといくらになるのかは見えてきません。社内で予算を通すには、根拠のある金額が必要です。
この記事では、TikTok広告にかかる費用を、配信費・動画の制作費・運用の手間の3つに分けて、TikTokの公式情報をもとに整理します。そのうえで、今のCPA(実績の、成果1件あたりの金額)から月の予算の目安を出す方法と、費用の大部分を左右する「動画の本数」をAIで抑える方法を、計算例つきで解説します。
先に結論:TikTok広告の費用は3つに分かれる
TikTok広告の費用は、次の3つの合計です。
| 費用の種類 | 何にかかるか | 金額を決めるもの |
|---|---|---|
| 配信費 | TikTokに払う広告の掲載料 | 予算、入札、ターゲティング、動画の反応 |
| 動画の制作費 | 広告に使う縦型動画を作る費用 | 1本の単価 × 必要な本数 × 入れ替えの回数 |
| 運用の手間 | 設定、分析、動画の入れ替えをする人の時間、または代理店への支払い | 自社で運用するか、外に頼むか |
多くの記事は配信費の相場だけを扱います。しかし実務では、TikTokは同じ動画を流し続けると反応が落ちやすいため、動画を何本作り、どれだけ入れ替えるかで総額が大きく変わります。予算を組むときは、配信費と制作費をセットで考えます。
配信費:課金の方式は4つ。目的で決まる
TikTok広告の配信費は、広告主が決めた予算の中で、オークションによって決まります。課金の方式(入札方法)は次の4つです。
| 課金の方式 | 料金がかかるとき | 使える主な広告の目的 | こんなときに選ぶ |
|---|---|---|---|
| CPM | 表示1,000回ごと | リーチ | とにかく多くの人に見せたい(認知) |
| oCPM | 表示1,000回ごと。ただし、購入や申し込みなど狙った行動を取りそうな人に配信を寄せる | コンバージョン、アプリのインストール、リード獲得、商品販売など | 購入や申し込みを増やしたい。「コンバージョン」と「アプリインストール」の目的では最初からこの方式になる |
| CPV | 6秒以上見られたとき、または最初の6秒の間に操作されたときなど | 動画の視聴数 | 動画をしっかり見てもらいたい |
| CPC | クリックされたとき | トラフィック、コンバージョンなど | サイトに人を連れてきたい |
(出典:TikTok広告ヘルプ「入札方法」)
実務での選び方:獲得が目的の会社のほとんどは、「コンバージョン」の目的でoCPMを使います。つまり、支払いは表示ごとですが、成果につながりそうな人に配信が寄るので、見るべき数字は1件の成果にかかった金額(CPA)です。CPMやCPCの単価が安いか高いかは、それだけでは良し悪しを判断できません。
相場の数字について:TikTokの公式ヘルプには、CPMやCPCの単価の相場は載っていません。単価は、入札、ターゲティング、時期、そして動画の反応によって変わるためです。自社の場合の目安を知るには、広告マネージャーでキャンペーンを作るときに表示される推定配信結果を見るか、少額で配信して実際の単価を測ります。
最低予算:公式の決まり
TikTok広告には、配信を安定させるための最低予算があります。
| 予算の種類 | キャンペーン | 広告セット |
|---|---|---|
| 日予算 | 50米ドル以上 | 20米ドル以上 |
| 通算予算 | 50米ドル以上 | 最低日予算(20米ドル)× 配信する日数 以上(例:31日なら620米ドル以上) |
(出典:TikTok広告ヘルプ「TikTok広告マネージャーでの広告予算について」、2026年7月更新)
公式ヘルプは米ドルで示しています。円で支払うアカウントでは、広告マネージャーに表示される最低額を確かめてください。
ただし、これは「配信できる最低の金額」です。成果を出すために必要な金額ではありません。最低額だけで配信すると、TikTokのAIが「どんな人に届けると成果が出るか」を学ぶためのデータが集まらず、成果が安定しないまま終わりやすくなります。成果を出すための予算は、次の章のように今のCPAから目安を出します。
成果が出る予算の組み方:今のCPAから目安を出す
TikTokは、最適化の種類ごとに、広告セットの日予算の推奨の目安を公表しています。
| 最適化する成果 | 広告セットの日予算の推奨の目安 | 今のCPAが分からない場合(公式の初期予算の例) |
|---|---|---|
| コンバージョン以外(認知などファネルの上の成果) | 今のCPA(成果1件の単価)の50倍 | 100米ドル(または同等額) |
| 浅いコンバージョン(ページの閲覧など) | 今のCPAの50倍 | 100米ドル(または同等額) |
| アプリのインストール | 今のCPAの20倍 | 200米ドル(または同等額) |
| 深いコンバージョン(カートに追加、購入など) | 今のCPAの10倍 | 200米ドル(または同等額) |
(出典:TikTok広告ヘルプ「予算選択のヒント」、2026年8月更新。広告セットの予算は、通算予算ではなく日予算にすることも推奨されています)

計算例(架空の通販商品)
- 実績のCPA:購入1件あたり5,000円
- 購入(深いコンバージョン)で最適化する場合、広告セットの日予算の推奨の目安は5,000円 × 10倍 = 1日5万円
- 広告セットを1つ、30日配信すると、配信費は月約150万円
同じ商品でも、ページの閲覧(浅いコンバージョン)で最適化し、実績の1閲覧の単価が100円なら、日予算の推奨の目安は100円 × 50倍 = 1日5,000円、30日で月約15万円です。
実績のCPAがまだないときは、表の右の列の公式の初期予算の例や、管理画面に表示される推奨を参考に、試験の予算を決めます。これらの目安は、前の章のシステムの最低予算(配信できる最低額)とは別のものです。
この差が、予算の少ない会社が最初に考えるべきところです。当社の運用の経験では、購入のような深い成果を学習の目標にすると、学習は正確ですが、成果が1日に何件も出ない予算では学習が進まず、時間がかかります。予算が限られるうちは、最初はクリックやページの閲覧など、件数が多く出る浅い成果を学習の目標にして配信を回し、データがたまってから購入などの深い成果に切り替える、という進め方も取れます。
社内で予算を通すときは、「今のCPA × 倍率 × 広告セットの数 × 日数」の式と、出典のTikTokの公式の目安をそのまま見せると、金額の根拠を説明しやすくなります。
予約型の広告(TopView・リーチ&フリークエンシー)の費用
ここまでの話は、オークションで配信される運用型の広告です。これとは別に、表示枠を事前に予約して買う広告があります。
| 広告 | どんな広告か | 買い方 |
|---|---|---|
| TopView | TikTokを開いたとき、他の動画より前に最初に出る動画広告。最初の3秒は全画面 | 表示回数(CPM)で購入。営業担当から固定料金の提示を受けるか、広告マネージャーの予測でCPMを出す。現在は条件を満たす広告主のみ利用できる |
| リーチ&フリークエンシー | 届ける人数と、1人に見せる回数を決めて、事前に予約する | 予算、表示回数、届ける人数のどれかを固定して予約し、システムが残りを予測する |
(出典:TikTok広告ヘルプ「TopViewについて」、「リーチ&フリークエンシーキャンペーンのリザベーション購入方式」)
TopViewは料金が公開されておらず、営業担当を通して見積もりを取る大型の施策です。新商品の発表など、短い期間で一気に認知を取りたいときに検討します。獲得が目的で、これからTikTok広告を始める会社は、まず運用型のインフィード広告から始めるのが基本です。
動画の制作費:「1本の単価」より「必要な本数」で決まる
TikTokは、広告セットごとに3〜5本のクリエイティブを、キャンペーンごとに3〜5つの広告セットを用意することを推奨しています。また、成果が下がる傾向が続いたり、1日あたりの新しく届いた人が少なくなったりしたら、広告セットの動画を入れ替えることを推奨しています(出典:TikTok広告ヘルプ「パフォーマンス広告向けのクリエイティブベストプラクティス」)。
TikTokの公式ブログでも、サイバーエージェントの縦型動画戦略局の三浦大輝氏が、表現の違うクリエイティブを数多く用意することが重要で、2〜3本だけでは限られた人にしか届かないと話しています(出典:TikTok for Business ブログ、2025年1月)。
つまり、推奨どおりに始めると、最初だけで9〜25本、その後も入れ替えのたびに新しい動画が必要です。
| 作り方 | 料金の例 | 含まれるもの・前提 |
|---|---|---|
| 制作会社(SNS向けの短い動画) | 1本約3万円(JPC:月4本で12万円、税別) | 15秒前後の投稿用の動画。撮影半日と編集、簡易テロップ |
| 制作会社(広告用の動画) | 1本35万円、2本まとめ撮りで60万円(JPCの公開料金の例、税別) | 30秒前後。新規撮影・企画・編集・ナレーション込み |
| AIで作る(Zidea) | ツール利用料。Standardプランは月額29,800円で約17本が目安 | 企画の確認や修正にかかる社内の人件費は別 |
(出典:JPC 料金。依頼先ごとの料金は動画広告の作り方の費用の章でまとめています)
制作費を1本に集中させると、比べる本数も、判断できるだけの配信費も残りません。予算を組むときは、先に「何本で比べるか」を決めてから、制作費と配信費を割り振ります。
運用を自社でするか、代理店に頼むか
運用の手間にかかる費用は、自社で運用するか、代理店に頼むかで変わります。
| 自社で運用する | 代理店に頼む | |
|---|---|---|
| お金 | 配信費と制作費だけ。担当者の人件費は社内でかかる | 配信費と制作費に加えて、代理店の手数料。料金の決め方(広告費に対する割合、月の固定額など)は代理店ごとに違う |
| 向いている会社 | 担当者が週に数時間、数字を見て動画を入れ替えられる。少額から始めたい | 社内に運用できる人がいない。予算が大きく、早く立ち上げたい |
| 気をつけること | 学習期間中に設定を何度も変えない(次の章) | 動画の制作が含まれるか、何本まで作るか、配信のデータや広告アカウントを自社で持てるかを見積もりで確かめる |
代理店に頼む場合も、動画の本数が足りないと成果は伸びにくいので、制作が手数料に含まれるのか、別料金なのかは必ず確かめます。
費用を無駄にしない運用のコツ
TikTokの公式の推奨をもとに、配信費を無駄にしないための決まりを整理します。
- 学習期間中は設定を変えない:TikTokは、成果が約25件たまるか7日がたつと成果の変動が落ち着き始めるとしています。それまでは、ターゲティング、入札、予算の変更を避けます(出典:TikTok広告ヘルプ「学習期間」、「予算選択のヒント」)
- 予算は少しずつ増やす:1回の増額は、学習期間中なら40%まで、学習期間を終えたあとは30%までにし、2日以内に何度も変えないようにします(出典:TikTok広告ヘルプ「TikTok広告マネージャーでの広告予算について」)
- 変えたら2日は待つ:ターゲティング、入札、予算を変えたら、最低2日は変えずに様子を見ます
- 動画は新しい広告セットではなく、今の広告セットに足す:反応が落ちた動画を入れ替えるとき、広告セットを作り直すと学習がやり直しになります(出典:TikTok for Business ブログ「Ace the Auction」)
当社の経験でも、配信を始めたばかりの広告は成果がまず安定しません。最初の数日の数字で慌てて止めたり、設定を何度も変えたりすると、学習がやり直しになり、配信費がかさみます。
AIで動画の制作費を下げ、本数と配信費に回す
TikTok広告の費用で、いちばん下げやすいのは動画の制作費です。配信費は成果のために必要なお金ですが、制作費は作り方を変えると大きく下がります。
TikTokの公式のAIツール:TikTokは、広告マネージャーの中で使える無料のAI制作ツール「Symphony Creative Studio」を提供しています。動画の生成、画像の生成、アバターが話す動画、多言語の吹き替え、動画の編集などができます(出典:TikTok広告ヘルプ「Symphony Creative Studioについて」、2026年6月更新)。手元に商品画像や既存の動画があり、TikTok向けに手早く形を整えたいときに向いています。
実務での使い分け:AIで制作費を下げるときに大切なのは、本数を増やすことではなく、違いのある動画を増やすことです。同じ訴求の動画を色違いで10本作っても、比べられるのは1つの仮説だけです。
- 先に、試したい訴求(悩み、使う場面、他の商品との違いなど)を3〜5つ決める
- 訴求ごとに、冒頭の3秒が違う動画を作る
- 広告セットに入れ、学習期間を待ってから、成果の良い訴求を残し、悪い訴求の動画を入れ替える
縦型動画の作り方と、冒頭3秒・台本の例は、TikTok広告の始め方の記事で詳しく解説しています。
訴求の違う動画を、制作費をふくらませずにそろえるには
前の章の手順どおりに進めると、訴求を3〜5つ決め、訴求ごとに冒頭の3秒が違う動画を作り、学習期間のあとに負けた動画を入れ替える、という作業が続きます。広告セットごとに3〜5本、入れ替えの分まで考えると、制作費をどう抑えるかが予算の組み方そのものになります。
当社が提供している動画広告AIのZideaは、この「違いのある動画」をそろえる作業を受け持ちます。商品のLPのURLを入れると、AIが訴求軸を分析し、訴求ごとの台本と絵コンテから縦型の動画広告まで作ります。冒頭を変えた版もまとめて作れ、台本・映像・テロップ・演出は自分で細かく直せます。AIアバターが話す動画も作れるので、演者を手配しなくても、話して紹介する動画を入れ替え用に用意できます。
料金は、Standardプランが月額29,800円・月1,700ZCで約17本が目安です。作り直しや生成条件で本数は変わります。
Zideaを作っている株式会社zokujinは、自社でも広告の制作と運用を受託しています。当社の受託案件では、撮影で作っていたころは費用の面で1本ずつしか比べられなかったのが、AIに変えて同じ費用で約20本を試せるようになり、Meta広告で月約560万円を配信した約3か月の運用で、週ごとの入れ替えを続けて、CPAが24,000円から14,800円(-38%)に下がりました。広告費が同じなら、獲得件数は月約230件から約380件に増えた計算です(広告費とCPAから計算した目安)。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルがあります。

こんな広告動画が、URL ひとつで
まとめ:TikTok広告の予算を決める前のチェックリスト
- 費用を、配信費・動画の制作費・運用の手間の3つに分けて見積もったか
- 獲得が目的なら、oCPMで配信し、単価ではなくCPAで判断すると決めたか
- 最低予算(日予算はキャンペーン50米ドル、広告セット20米ドル)は「配信できる最低額」で、成果を出す金額ではないと理解したか
- 今のCPA(実績)× 倍率(深い成果なら10倍、浅い成果なら50倍)× 広告セットの数 × 日数で、月の配信費の目安を出したか
- 実績のCPAがないときは、公式の初期予算の例や管理画面の推奨を参考に、試験の予算を決めたか(システムの最低予算とは別)
- 予算が少ないうちは、件数の多く出る浅い成果を学習の目標にすることを検討したか
- 広告セットごとに3〜5本の、訴求の違う動画を用意し、入れ替えの分の制作費も見込んだか
- 学習期間中は設定を変えず、予算は1回40%(学習後は30%)までの増額にすると決めたか



