広告にAIを使えば速く安く作れる、とはよく聞きます。でも、実際にどの作業をAIに任せればいいのか、AIで作った広告が「気持ち悪い」と思われないか、気になって踏み出せない。そんな広告担当者は多いはずです。
この記事では、広告づくりのどこにAIを使えるかを整理し、AI広告の作り方を6つの手順で解説し、バナー・広告文・動画など用途別のAIツールの選び方を紹介します。あわせて、生活者がAI広告をどう受け止めているかの調査結果と、「気持ち悪い」と言われないための注意点、AI・AIエージェントで検証を回し続ける方法までまとめました。
AI広告とは:広告づくりのどこにAIを使うか
AI広告とは、広告の企画・制作・配信・改善のどこかにAIを使った広告のことです。AIを使える場面は、大きく次の5つに分けられます。

| 工程 | AIでできること | 使うAIの例 |
|---|---|---|
| 企画 | LPやお客様の声から、悩みと訴求軸の案を出す | 生成AI(ChatGPT、Claudeなど) |
| コピー | 見出し・本文・台本の案を何パターンも作る | 生成AI |
| 画像・動画 | バナー、動画の映像、ナレーション、編集を作る | 画像生成AI、動画生成AI、動画広告AI |
| 配信 | 入札、配信先、広告の組み合わせを最適化する | 媒体のAI(Google広告のP-MAX、MetaのAdvantage+など) |
| 分析・改善 | 配信結果を要約し、次に試す案を出す | 生成AI、AIエージェント |
配信の最適化は、すでに広告の管理画面に入っている「媒体のAI」が担っています。一方、企画から制作までは、運用者がAIの使い方を決める余地が大きい部分です。広告で成果の差がつきやすいのも、この「何を、どれだけ作って試すか」の部分です。
AIで広告づくりは何が変わるか:本数と検証の回数
広告は、どの訴求が当たるかを出す前に知ることができません。だからこそ、必要な品質と、判断できるだけの配信量を確保したうえで、違う仮説を試せる回数を増やすことが大切です。AIが変えるのは、この試せる本数と回数です。
| 段階 | AIを使わない場合 | AIを使う場合 |
|---|---|---|
| 訴求を考える | 担当者の経験に頼り、案は2〜3個 | お客様の声や資料から、案を10個以上出せる |
| 作る | 1本に時間と費用がかかり、本数を増やせない | 訴求違い・冒頭違いの案を短時間で何本も作れる |
| 比べる | 少ない本数で判断するしかない | 比べる本数を増やせる |
| 改善する | 学びが担当者の頭の中に残るだけ | 結果をまとめ、次の案にすぐ反映できる |
AIの強みは、品質と配信量を確保したうえで、違う仮説を試せる回数を増やせることです。AI広告は「作って、比べて、直す」をくり返すための道具だと考えると、使いどころを外しません。
AI広告の作り方6ステップ
1. 目的と、判断する指標を決める
認知を広げたいのか、申込や購入を増やしたいのかを決めます。獲得が目的なら、クリック率だけでなく、CPA(1件あたりの獲得費用)やCVR(成果に至った割合)を主な指標にします。
AIでどう速くするか:過去の配信結果をAIに渡し、「今の数字のどこが弱いか」を整理させると、目標の置き方が早く決まります。
2. お客様の悩みと言葉を集める
LP、レビュー、問い合わせの内容から、お客様がどんな場面で何に困っているかを書き出します。
AIでどう速くするか:資料をまとめてAIに読ませ、お客様が実際に使っている悩みの言葉を抜き出させます。
3. 訴求軸の案を広げて、選ぶ
訴求軸とは、「誰の、どんな悩みに、何を約束するか」の切り口です。1つに決め打ちせず、2〜3軸を比べる前提で選びます。
AIでどう速くするか:悩みの言葉から、訴求軸の候補を10案以上出させます。そこから、事実で言い切れるもの、自社らしいものを人が選びます。訴求軸の出し方は広告クリエイティブの作り方で詳しく解説しています。
4. コピーと台本を作る
訴求軸を、見出し・本文・テロップの言葉や、動画の台本に落とします。動画は、冒頭の数秒で「誰向けか」「どんな悩みか」が伝わるようにします。
AIでどう速くするか:1つの訴求軸から、言い回しや冒頭の見せ方を何パターンも作らせます。人は「事実に合っているか」「言い過ぎていないか」を見て選び、直します。
5. 画像・動画を作る
バナーや動画の素材を作り、配信面ごとのサイズに合わせて書き出します。
AIでどう速くするか:画像も動画も、AIで作れるようになりました。動画なら、台本から映像・ナレーション・編集・演出までをAIで作り、人が直したいところだけ手を入れる、という進め方ができます。動画を作れるAIの選び方は動画作成AIおすすめ9選で比べています。
6. 配信して比べ、次の案に活かす
訴求軸ごと・冒頭ごとに数字を比べます。一度に変える要素は1つに絞ると、何が効いたのかが分かります。
AIでどう速くするか:配信結果をAIに渡し、「どの訴求が、どの指標で強かったか、次に何を試すか」をまとめさせます。配信の最適化は媒体のAIに任せます。媒体のAIと制作のAIの使い分けは広告運用にAIを活用する方法で整理しています。
広告を作れるAIツール:用途別の選び方
広告づくりに使えるAIツールは、「何を作るか」で選びます。同じ「AIで広告を作る」でも、バナー、広告文、動画で向いているツールが違います。主なツールを、各社の公式情報(2026年10月時点)で用途別に整理しました。
| 用途 | ツールの例 | できること | 料金・使える条件 |
|---|---|---|---|
| バナー・画像 | Canva | 日本語の指示で画像を作り、テンプレートに組み込んでバナーに仕上げる | 無料版あり(AI機能は回数制限あり)。Canvaプロは年11,800円 |
| バナー・画像 | Adobe Express | 生成AI(Firefly)で画像を作り、SNS用の画像を編集する | 無料プランあり。プレミアムは月1,180円(税込) |
| バナー・画像 | Google広告の画像エディタ | P-MAXなどの広告画像を、指示文から作ったり、背景を差し替えたりする。日本語の指示に対応 | 広告アカウントの開設から30日以上など、条件を満たすアカウントで使える |
| 広告文 | ChatGPT、Claude、Gemini などの生成AI | 商品の情報やお客様の声から、見出しや広告文の案を何パターンも出す | 各社の無料プラン・有料プラン |
| 広告文・画像 | Meta Advantage+ クリエイティブ | 広告文のバリエーション、画像の背景の生成などを、広告マネージャの中で行う | 使える機能はアカウントによって違うため、管理画面で確かめる |
| 動画 | 広告に特化したAIツール(Zidea など) | 商品のページから、訴求・台本・映像・テロップまでそろった動画広告を作る | ツールごとの有料プラン |
| 制作をまるごと任せる | 極予測AI(サイバーエージェント) | 効果の予測と制作を組み合わせたサービス。自社で使うツールではなく、制作を任せる形 | 企業ごとの契約 |
(出典:Canva 料金、Canva AI画像生成、Adobe Express 料金、Google広告ヘルプ「AI搭載の画像エディタ」、Meta Advantage+ クリエイティブ、サイバーエージェント)
なお、Google広告のP-MAXで、生成AIが広告文・画像・動画までまとめて作る機能は、現時点では米国だけの提供です(出典:Google広告ヘルプ)。海外の記事で紹介されている機能が、日本のアカウントでは使えないことがある点に注意してください。
選び方のポイント
- まず作るものを決める:バナーを量産したいのか、広告文の案を増やしたいのか、動画広告を作りたいのかで、選ぶツールは変わります。
- 広告媒体のAI機能から試す:Google広告やMetaの中にあるAI機能は、追加のツールなしで試せます。ただし、表現を細かく選べないことも多いため、伝えたい訴求とずれていないかを配信前に確かめます。
- 動画は、台本から作れるかで選ぶ:動画広告の成果は台本で大きく変わります。映像をきれいに作れるかより、訴求と台本から作り、何パターンも比べられるかを重視します。動画の作り方の違いは、AI動画広告の作り方で詳しく解説しています。
- 広告に使える条件を確かめる:ツールのプランによっては、作ったものを広告に使えない場合があります。動画の場合は、動画生成AIの商用利用の記事を参考にしてください。
AI広告は嫌われる? 生活者の受け止め方
「AI広告 気持ち悪い」「AI広告 不快」と検索されるように、AIで作った広告に抵抗を感じる人は少なくありません。日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の「2026年インターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)」では、次のような結果が出ています(出典:JIAA「2026年インターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)」、2026年2月、15〜69歳の3,591人へのWeb調査)。
- 生成AIを使った広告に「本物らしさがない/不自然」「情報の正確性が心配/信頼できない」「著作権が不安」などのネガティブなイメージを持つ人は57.6%で、ポジティブなイメージを上回りました。
- 一方で、生成AIを使った広告について「条件が整えば活用してよい」と答えた人は52.0%でした。
- 受け入れやすくする条件は、「生成AIを活用していることが明記される」が37.6%で最も高く、「法律やガイドラインで規制されている」が30.4%、「実在人物やキャラクターの使用が適切に許諾されていることが明記されている」が26.8%と続きました。
つまり、嫌われる理由ははっきりしています。不自然さ、正確さへの不安、権利への不安です。裏を返せば、この3つを潰せば、AI広告は受け入れてもらえる余地があります。
「気持ち悪い」と言われないための5つの注意点

1. 不自然なところを、人が必ず見る
人物の手や指、表情、口の動き、背景のゆがみ、日本語の文字の崩れは、AIで作った素材で起きやすいところです。公開前に、人が1本ずつ確かめます。少しでも不自然なら作り直すか、その部分を使わない構成に変えます。
2. 事実と数字を、元の資料で確かめる
AIは、もっともらしい数字や実績を作ってしまうことがあります。価格・効果・実績・期間は、必ず元の資料で確かめます。効果を言い切る表現や、根拠のない「No.1」は、景品表示法や媒体の審査に触れるおそれがあります。
3. AIを使ったことを、必要に応じて示す
JIAAの調査では、受け入れやすくする条件の1位が「生成AIを活用していることが明記される」でした。また、Google広告のヘルプでは、欧州連合、インド、ニューヨークのAI規制により、AIで生成または編集した特定のアセットを含む広告には、そのことを知らせる開示やラベルが義務付けられていると案内されています。配信する地域と媒体のルールを確認し、必要な表示を入れます。
4. 実在の人物・キャラクター・他社の表現に似せない
AIアバターや生成した人物が、実在の人物や他社のキャラクターに似ていないかを確かめます。実在の人物を使う場合は、許諾を取り、その範囲を記録しておきます。
5. 体験談や口コミを、本物のように見せない
AIで作った人物の体験談を、実在の利用者の声のように見せてはいけません。2023年10月1日から、広告であるのに広告だと分からない表示(いわゆるステルスマーケティング)は、景品表示法で規制されています(出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関する規制」)。UGC風の広告を作るときのルールはUGC広告の作り方で詳しく解説しています。
AI・AIエージェントで「量産→検証→改善」を回し続ける
AI広告の本当の価値は、1回作って終わりではなく、作る・比べる・直すのサイクルを速く回し続けられることにあります。
AIエージェント(目的を伝えると、複数の作業を順番に進めるAI)を使うと、訴求の洗い出しから制作、配信結果の振り返り、次の案づくりまでを一続きで進められます。人は、次の2つの判断に集中できます。
- どの訴求で勝負するか:商品とお客様を知っている人にしか決められません。
- 配信してよい表現か:前の章の5つの注意点を、人が確かめます。
広告がクリックされても成果につながらない場合は、広告だけでなくLPの側にも原因があることがあります。広告とLPのどこから直すかはCVR改善の施策10選で解説しています。
動画広告で「量産→検証→改善」を回すには
5つの工程のうち、いちばん手間が重いのは動画です。訴求軸を2〜3軸に広げ、冒頭も何パターンか変えて比べようとすると、台本・映像・ナレーション・テロップを本数分そろえる必要があり、ここで手が止まりがちです。
当社が提供している動画広告AIのZideaは、この記事の手順3〜5をまとめて受け持つツールです。
- 訴求軸の案から動画まで:商品のLPのURLを入れると、AIが訴求軸を分析し、訴求ごとの台本と絵コンテを作り、そのまま動画広告に仕上げます
- 人が見るところは人が直す:台本・映像・テロップ・演出は自分で編集できるので、注意点の章で見た「事実に合っているか」「言い過ぎていないか」を確かめ、気になる言い回しや場面だけ差し替えられます
- 次の案もすぐ作れる:配信の結果を見て、勝った訴求の冒頭だけを変えた動画や、参考にしたい広告の動画のリンクを入れて、その構成を手本に自社の商品と素材で作った動画を、同じ流れで作れます
Zideaは、広告の制作と運用を受託している株式会社zokujinが、自社の現場でも使っているツールです。撮影して作っていた頃は費用の面で1本ずつしか比べられなかった受託案件も、Zideaに変えてからは同じ費用で約20本をテストできるようになりました。Meta広告で月約560万円を配信した約3か月の運用で、週ごとに比べて直すのを続け、CPAは24,000円から14,800円(-38%)まで下がっています。料金はLightプランが月額9,800円で、約5本から始められます。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルがあります。

こんな広告動画が、URL ひとつで
まとめ:AI広告を始める前のチェックリスト
- 目的と、判断する指標(CPA・CVRなど)を決めたか
- お客様の悩みを、お客様の言葉で集めたか
- 訴求軸を1つに決め打ちせず、2〜3軸を比べる準備をしたか
- AIで作った素材の不自然なところ(手・表情・文字など)を、人が確かめたか
- 価格・効果・実績などの事実を、元の資料で確かめたか
- 配信する地域と媒体のルールに沿って、AIを使った表示を入れたか
- 実在の人物やキャラクターに似ていないか、許諾は取れているかを確かめたか
- 体験談や口コミを、本物のように見せていないか
- 配信結果を比べ、次の案に活かすサイクルを回しているか



